6 養育費の支払い

夫と離婚することになりました。中学生と小学生の子ども2人については,親権は私が取得して3人で新たにマンションを借りて暮らすことになりました。ただ,養育費の金額については話し合いがついていません。どのくらいの金額の養育費を支払ってもらえるのでしょうか。また,夫が養育費を支払ってくれない場合にはどうすればよいのでしょうか。

養育費とは?

養育費とは,子どもが社会人として自活ができるまでに必要とされる費用のことを言います。衣食住にかかる経費のほか,教育費,医療費などが養育費にあたります。社会人として自活できるまでということですので,20歳までが原則とはなりますが,高校卒業までの18歳,大学卒業までの22歳となることもあるでしょう。

養育費の定め方

養育費の金額は,まずは当事者間の話し合いで決めることになりますが,話し合いでまとまらない場合には,家庭裁判所に調停を申し立て,調停委員を介して話し合うことになりますが,調停でもまとまらなければ,最終的には審判で養育費の金額を決めてもらうことになります。

養育費の金額

相手方に請求する養育費としていくらが相当かという質問を受けることがありますが,実務においては,裁判官や調査官が中心となった研究会で作成された算定表を使った算定がされています。『婚姻費用』のところでも紹介した「養育費・婚姻費用算定表」というものです。
ただし,この養育費算定表は,子どもの年齢,扶養しなければならない子どもの人数,夫婦の収入によって養育費の標準額を簡易・迅速に算定しようというものですから,個別の事案においては,その事案特有の事情(例えば,住宅ローンなど特別な支出の有無,当事者の健康状態,子どもの養育環境など)を考慮して標準額を修正していくことになります。

  • 養育費・婚姻費用算定表(裁判所HPより)はこちら算定表を使った標準額の求め方ですが,例えば,給与所得者である夫の年収が500万円,パートをしている妻の年収が110万円,夫婦の間に4歳の子どもが1人いるという例では,夫は妻に対し,月額4~6万円を支払うものとされることになります。
  • 算定表の「年収」は,給与所得者の場合には源泉徴収票に記載されている支払金額(税金控除されていない金額),自営業者の場合には確定申告書に記載する所得金額になります(基礎控除,青色申告控除等の税法上の控除額は加算します)。