〔lawyer’ blog〕✍ 床屋談義

ストレスにさらされる毎日(?),リラックスできる時間は貴重です。私の場合,床屋さんで散髪してもらう時間もそのひとつ。熱いタオルを顔にかけられたり,シャンプーをしてもらったりするのが心地よいことはもちろんですが,髪を切ってもらっている間,うとうとできるのもとても幸せです。髪形などにこだわりはないのですが,かといって知らない店にぶらりと入るのは緊張もしますし,前髪の長さはどうする,もみ上げは切る切らないなど,その都度やり取りするのも煩わしいので,床屋さんに関しては勝手が分かった行きつけの店を決めています。浦和の裁判所の近くにあるご夫婦でやられている床屋さんで,もう15年ほど通っているでしょうか。川口に事務所を移してからも,裁判の合間の時間などに立ち寄るようにしていました。

ところが,5月の終わり頃のこと,梅雨に入る前に髪を切ってさっぱりしておこうと思って予約を入れようとしたところ,電話に出た奥様から,主人がケガをしてしばらく店を開けることができなくなってしまったと断られてしまいました。何かあったのかなと気になり,一度,裁判の帰りに車でお店の前を通ってみたのですが,通りに面した建物にはブルーシートがかけられていて,まるで大規模なリフォーム工事でもするような雰囲気になっていました。しばらく再開しそうもないなと諦めて,夏から秋にかけては,いくつかお店を新規に開拓し,髪を切ってもらっていたのですが,どこもなんとなく落ち着きません。

“床屋難民”になりかけていた先日,久しぶりに店の前を通りかかったところ,ブルーシートはそのままだったのですが,通りを挟んで向かい側に建つビルの1階に,あのサインポールが立っていました。これはもしかするとと電話をかけてみると,仮店舗で営業を再開したとのこと。早速,予約をして出かけてみたのですが,奥様がハサミを持ち,ご主人はモップで床を掃くだけでいつもと様子が違います。話しを聞いてみると,GW明けにお店の前の交差点で2tトラックと乗用車が出会い頭に衝突し,その弾みでトラックが店に突っ込むという交通事故があり,店先でプランターに花を植えていたご主人が巻き込まれて大けがをされたというのです。トラックの直撃は免れたものの(そうなっていたら命も危なかった),建物の間に足を挟まれてしまい,レスキュー隊に救出されるという騒動になったのだとか。県庁の近くには報道機関も多いので,まだ救出作業が続いているところに複数の報道機関の記者が駆けつけ,その日のニュースでも取り上げられたのだということでした。それはとんだ災難でしたねと応じると,話しは自然と賠償のことに。自営業の方の営業補償(休業損害),店舗の修理費用の範囲・評価,代替店舗の賃料の保障期間など,それなりに考えなければならないことのオンパレード。少し居眠りをしたいところだっただったのですが,まる1時間,みっちり法律相談をする羽目に…。でも,行きつけの店が営業を再開してくれて,“床屋難民”なりかけの身としては本当に助かりました。

追記:「法律相談分野別Q&A」のコンテンツを少しづつ書いています。『交通事故』についてもアップしました。まだきちんと整理できておらず,内容も今回の「床屋談義」に対応できていないなど不十分ですが,興味のある方はご覧になってみてください。