〔lawyer’ blog〕✍ “万引き家族”,“フロリダ・プロジェクト”,そしてSKIPシティ国際Dシネマ映画祭

先週土曜日,MOVIX川口で是枝裕和監督の「万引き家族」を見てきました。事務所の目の前にあるショッピングモールの中の映画館なのですが,アニメやファミリー向け作品の上映が中心なので,今まで一度も利用したことはありませんでした。封切り2日目,最初の土曜日,そして何よりカンヌ映画祭のパルムドール受賞ということで,座席数が最も多い1番スクリーンでしたが,7割近くの席が埋まっていました。

ひとつ屋根の下で暮らしてはいるけれど,本当の家族ではなく,奇妙な関係でつながっている同居人たち。そこに両親から虐待されて団地のベランダに締め出されていた女の子が加わって,括弧付きの「家族」の絆が生まれていくというストーリー。実際にあった事件を想起させるリアルなドキュメンタリーのような部分と映画的なフィクショナルな部分との混ぜ具合が絶妙。優等生過ぎて面白みに欠けるなんて意見もあるようですが,祖母役の樹木希林,駄菓子屋の店主役の柄本明らのユーモラスな演技で館内にクスクス笑いが拡がるシーンが何度もあったりして,“社会派”に括られがちなこれまでの是枝作品とはひと味違う感じがしました。

映画といえば,先月,シェーン・ベーカー監督の「フロリダ・プロジェクト」も見たのですが,この2つの作品,真っ当ではないことを生業にしているどうしようもない大人と,その大人と一緒に暮らす愛らしい子どもたちが描かれているという点で共通。そして,こんな生活はいつまでも続かないだろうなという予感がスクリーンに満ちていて,実際,最後に破綻が待ち受けているという点でも共通しています。でも,ラストシーンは好対照。見比べてみると面白いと思います。

初めて利用したMOVIX川口ですが,今年は,15回目を迎えたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭のサブ会場になるようです。国際コンペティション部門の10作品がこの会場でも上映されるらしいので,うまく時間を作って見に行ってみようと思います。