〔lawyer’ blog〕✍ 記憶に残る7月

連日の猛暑,酷暑で体の中に確実にダメージが蓄積していっているような気がします。西日本の豪雨災害もそうですが,少し前までではちょっと考えられないような異常な気象現象が続いた7月でした。

このたぶんずっと記憶に残るであろう7月にあった出来事の中で一番心がざわついたのは,オウム事件関連の死刑囚13名に対する刑の執行のニュースでした。今年の3月,東京拘置所に収容されていたオウム関連の死刑囚のうち7名の身柄が,大阪・名古屋などの拘置所に移されたという報道があり,刑の執行の時期が迫っていることは予想はしていました。それでも,こんなに早く,しかも6日の麻原彰晃ら7名に続いて,26日に残りの6名についても立て続けに刑が執行されるということは想像していませんでした。一部の報道にあるように,「平成」が終わる前に,東京オリンピックが近くなる前に,区切りをつけてしまいたい,そんな思惑が政府に本当にあったのか…。死刑の存置についての意見は様々かと思いますが(私は反対です。),今回の執行については違和感を感じた方も少なくなかったのではないかと思います。

死刑が執行された13名の多くが50歳代。ちょうど私と同世代です。H元死刑囚は高校の一年後輩。面識はまったくありませんが,彼を知る同級生から,非常に真面目で優秀な奴だったと聞いたことがあります。比較的裕福な家庭で育った学生が多いなかで,アルバイトで学費を稼ぐ苦学生だったようです。大学・大学院での指導担当教授に「博士課程に進んでいたらノーベル賞級の学者になった」とコメントさせるような優秀な人物が,あのようなテロ行為に加担してしまったのはなぜなのか。宗教的教義を使ったマインド・コントロールの脅威は,オウム以降,アルカイダやイスラム国らによるテロにも共通するところがあるように思います。

今日,オウム関連事件の刑事裁判記録を法務大臣が永久保存する指定をしたという報道がありました。しかし,オウム事件については,その捜査過程や裁判手続自体にも色々と問題がありました。記録保存は当然のことですが,刑の執行の前に,できたこと,しておくべきことはほかにも色々あったように思えてなりません。