〔lawyer’ blog〕✍ 江戸一(えどいち)

小春日和の平日,交渉案件の打ち合わせをするため,依頼者のご自宅を訪問しました。東京と埼玉とが入り組んでいる地域で,車で移動していくと地名がどんどん変わっていきます。住宅が密集しているのですが,その中を小川が流れ,水車もあったりして,ちょっと不思議な場所でした。

依頼者のお宅の庭には柿の木が数本植わっていました。どの木の枝にも柿がたわわに実っているのですが,その形は木ごとにちょっと違っています。依頼者の叔母にあたる方がお好きだったそうで,すべて違う種類の柿の木が4本植えられていました。平たい次郎柿は私も知っていたのですが,縦に少し細長い実の方はわかりません。『江戸一』(えどいち)という百匁柿の枝変りの柿なのだそうです。細長い柿は渋柿という先入観があり,「甘いのですか。」と思わず口にしてしまったところ,「ええ,甘いですよ。持って行ってください。」と枝からたくさんの江戸一を捥いでくれ,袋に詰めて渡されてしまいました。その日は午後から東京地裁で証拠調べ(証人尋問)の期日が入っていて,大量の柿の実を法廷に持ち込むというわけにもいかず,いったん日比谷駅のコインロッカーに預けることに。スーツ姿で大量の柿の実をコインロッカーに押し込もうとする姿は少し怪しかったかも(笑)。

無事に証拠調べを終え。ロッカーから取り出した江戸一を家にしっかり持ち帰って,早速,食べてみました。富有柿などと比べると水分が少なくて,ちょっとモサっとした食感はするのですが,素朴で十分な甘さがありました。ごちそうさまでした。