3 身柄の解放を求める弁護活動

身柄の解放を求める弁護活動(川口幸町法律事務所)

捜査が始まって,被疑者(捜査段階の容疑者のことを刑事手続ではこのように呼びます。)の身柄を拘束した上で取り調べを行う必要があると捜査機関が判断すると,裁判所に逮捕状を請求し,この交付を受けて被疑者を逮捕することになります。
逮捕した後は,警察は48時間以内に被疑者の身柄と事件を検察官に送致しなければならず,また,送致を受けた検察官は,さらに被疑者の身柄を拘束した状態での捜査を続ける必要があると判断すれば,逮捕から72時間以内に裁判所に勾留請求をしなければなりません。

検察官から勾留請求がなされると,裁判官は,勾留決定をするか勾留請求を却下するかを判断します。勾留決定された場合には,最初の勾留期間は10日間,この10日の満期が来ても継続して捜査する必要があるときは,さらに10日間,勾留が延長されることがあります。
この結果,逮捕されてから最長で23日間もの身柄拘束がなされることになります。

そして,検察官は,勾留満期日までに被疑者を起訴するか不起訴にするかを判断します。
被疑者が勾留されている状態で起訴されると,原則として,起訴後も身柄拘束は継続されてしまいます(起訴後の勾留)。
保釈請求をして裁判所がこの保釈を認めてくれなければ,身柄が拘束された状態で裁判を受けなければならなくなってしまうのです。

このような身柄拘束からの早期の解放を求める活動も,刑事弁護活動の重要な内容になります。具体的な活動は,手続の段階に応じて内容,対象が変わってきます。

例えば,事件送致を受けた検察官が裁判所に勾留請求を行う前の段階であれば,検察官に面会を求め,あるいは意見書を提出して,勾留請求を行わないよう働きかけることになります。勾留請求をした直後であれば,勾留の必要性を審査する裁判官に同様の意見書を提出し,さらに面会を求め,検察官の勾留請求を却下するよう求めることになります。裁判官が勾留を認める決定を出してしまっても,この決定に対し,準抗告という不服申し立てをしたり,勾留決定後に事情の変化があれば勾留取消を求めるといった活動を行います。

検察官は,勾留満期日までに起訴,不起訴の判断をすることになりますが,微妙な事案では,弁護人から不起訴を求める意見書を提出し,さらに検察官に面会を求めることもあります。それでも,身柄拘束された状態のまま起訴をされた場合には,保釈請求を行うことになります。

このような身柄解放に向けた活動を行えるのは弁護人だけです。