2 逮捕を防ぐための弁護活動

警察が捜査を始めるきっかけは様々ですが,圧倒的に多いのが被害者による被害届の提出です。

被害届が警察に提出される経緯は様々です。
被害状況を確認した警察官が被害者に被害届の提出を促すこともあれば,被害者が示談交渉を有利に運ぶ材料として被害届を提出するということもよく行われます。

被害届を受け取る警察側としても,人員が不足していてすべての被害の訴えに対応できる体制はありません。
訴えの内容,経緯によっては被害届を受理しないこともありますし,受理をしても,いつ捜査に着手するかについては,捜査機関の裁量に委ねられています。

酔って喧嘩をして被害届を出されてしまったというケースについては,被害者が,被害に遭ってすぐに警察に相談に行き,実際に医師の治療も受けていれば,ケガの程度にもよりますが,すぐに捜査が始まる可能性があります。
たいしたケガではないということであれば,任意捜査で進められ,事情聴取を行うため日時を指定した呼び出しがかかるでしょう。
しかし,ケガの程度が大きかったり,悪質な事案と受け取られる事情があるなどすれば,警察が逮捕状を請求し,いきなり逮捕されるという可能性も否定はできません。

逮捕を防ぐためには,捜査機関に対して,身柄拘束をする理由や必要性がないことを指摘し,逮捕状の請求をしないよう働きかけることが必要になります。
被害者がいるケースでは,示談交渉を行って示談を取得し,被害届を取り下げてもらうということが逮捕を防ぐ重要な活動になります。