〔lawyer’ blog〕✍ “ゼロ・アワー”

昨年まで在籍していた事務所はさいたま地裁の近くにあったので,1日に複数の案件が入っていても,その都度,事務所と裁判所との間を往復していました。しかし,移籍したこの事務所からは,さいたま地裁まで片道40分,往復1時間半をみておかないといけません。なるべく待ち時間ができないようスケジュールを調整するようにしていますが,どうしても間が空いてしまうことがあります。時間つぶしには読書を,ということで,鞄の中には必ず本を数冊入れておくようになりました。

ちょっとした空き時間に読むとなるとエッセイとか新書になってしまいがちですが,最近,テンポ良く読み進めることができたのがこちらの小説。作詞家の売野雅勇さんが何かのラジオ番組で文章のリズムが良いというような話をされていたのを聞き,書店で見つけて手にしてみました。シェイクスピアの作品の登場人物の名前や台詞が散りばめられていたり,タンゴの名曲が自然とBGMになっていたり,作品としての完成度が高いとは正直思いませんでしたが(最終章は要らないよなぁ),最後まで一気におもしろく読むことができました。特に,ロミオとハムレットがミロンガを踊るシーン,二人の心理描写を書き分けているところは秀逸でした。

この本を読んでから,久しぶりにタンゴを聴きました。アストル・ピアソラの「Tango;Zero Hour」。中山可穂さんの小説と同じタイトル。いいですね! このアルバムが出た時,日本はバブルの真っ只中。社会人になったばかりの私は,バブルの最後のおこぼれを頂戴した程度でしたが,様々なジャンルの一流ミュージシャンが来日してライブを演ってくれました。ピアソラも行くチャンスはあったんですよね。すごく後悔しています。