〔lawyer’ blog〕✍ 都電早稲田駅から椿山荘へ

サイクリスト事務員君が筑波サーキットで奮闘した夏休みのとある一日,私はというと目白の椿山荘に優雅な(?)食事にでかけました。待ち合わせの時間まで少し余裕があったので,都電荒川線の早稲田駅から歩いていくことに。

駅から北に向かって少し行くと神田川に出ます。川の両岸には桜の木が植えられていて,春には花見にうってつけの場所です。橋を渡って川沿いを右に折れて進むと左手に「肥後細川庭園」の土塀が現れます。この庭園,少し前までは「新江戸川公園」と呼ばれていました。学生の時には,公園の中にある“松聲閣(しょうせいかく)”という建物の和室の部屋を借りて,司法試験を目指す仲間と自主ゼミをしていました。こんな都会の貴重な緑の中で勉強していたなんて,今から考えるととても贅沢でしたね。もう30年以上も前のことになります。

川沿いの道をそのまま進み,細川庭園の塀が切れたところで左に曲がると,“胸突き坂”と呼ばれる急で細い坂のふもとに出ます。坂の上り口の右手には,松尾芭蕉が二度目の江戸入りをした時に住居にしたという「関口芭蕉庵」があります。食事を前にしてあまり汗をかきたくないので,途中で何度か呼吸を整えながらゆっくり坂を登っていきます。

胸突き坂

坂を登り終えると,まず,左手に「永青文庫」の門が見えてきます(門が新しくなりましたね)。細川家伝来の美術品,歴史資料を収蔵する小さな美術館です。

永青文庫

永青文庫の前を通り過ぎると,今度は「和敬塾」の建物が見えてきます。こちらは,昭和30年に設立された男子学生向けの学生寮です。7000坪という広大な敷地に6つの寮があり,400人の学生(男ばかり‥)が共同生活を送っています。本館は旧細川侯爵邸で,今でも講演会などに使われているとのこと。一度見てみたいなぁとここを通るたびに思うのですが,一般公開は不定期なのでなかなか機会がありません。

和敬塾・東門から

この「和敬塾」,作家の村上春樹が早大1年の半年をここの寮で過ごしたことがあり,また,彼の小説「ノルウェイの森」の舞台として登場することでもハルキストの間では知られています。もう一つ,今回の散歩前に調べてみると,この和敬塾を創設した前川喜作(前川製作所の創業者)は,加計学園の問題で時の政権と対峙して注目されている前川喜平元文科相事務次官の祖父なのだそうです。そういう出自を持つ人が今回のような行動に出るということはどういうことなのか,なんてことをつらつら考えながら歩いているうちに目的地・椿山荘に到着しました。

私も出身大学は早稲田。学生時代に想いを馳せながらの散歩,楽しかったのですが,シャツは汗でびっしょり。もし皆さんが夏にこのコースを歩くのなら,椿山荘からスタートして坂を下りていく逆コースをお勧めします!(の)