3 金銭をめぐるトラブル:相手が任意の支払いに応じない場合の対処(強制執行)

相手方と交渉をして合意内容を公正証書にしても、あるいは、支払いをしない相手方に対し裁判を起こして勝訴判決を得ても、それでも相手方が支払いをしてこないという場合には、何か方法はあるのでしょうか。

強制的な債権の回収

任意に支払いに応じてこない相手方に対しては、その資産を探し出して差押えを行うことを検討することになります(強制執行)。
差押えの対象となる資産としては次のようなものが考えられます。

  • 不動産
  • 債権(相手方が取引先に対して有している売掛金や請負代金、有価証券、預金など)
  • 動産(現金,自動車,重機等)

不動産は一般的には高価値であるので、担保がついていない不動産を差し押さえることができれば、回収できる可能性があります。
ただ、不動産執行は、執行官による現況調査、評価人(不動産鑑定士)による鑑定評価などの手続を踏むため、動産への執行や債権への執行と比べると,時間と費用がかかってしまうというデメリットがあります。

不動産執行や動産執行と比べると、預金や売掛金などの債権を対象とした債権差押えは簡便ですし、手続に要する時間も短いというメリットがあります(順調に進めば2週間程度)。相手方の預金口座や取引先に対して持っている売掛債権などの情報を得ている場合には,債権差押えは非常に有効な回収手段になります。ただ、そうした情報を何も得ていないと,差押えをする債権を見つけることは容易ではありません。