債権を回収しようとする場合,民事保全手続をとっておくとよいと聞きました。民事保全手続きとはどのようなものですか?
民事保全手続とは?
支払いをしてくれない相手方に対し民事訴訟を提起し,勝訴判決を得たとしても,その間に相手方が差押えの対象となるような資産を処分し,あるいは隠してしまうと何もすることができません。そのようなことにならないよう,相手方が訴訟中に財産を処分することを防ぐ手続を民事保全手続と言います。「仮差押え」と「仮処分」
金銭の支払いを目的とする債権について,強制執行をすることができなくなるおそれがある時,これを防ぐために行う民事保全手続を仮差押えと言います。
動産の引渡請求権や建物の明渡請求権など金銭債権以外の債権の強制執行をすることができなくなるおそれがある時,これを防ぐために行う民事保全手続を係争物に関する仮処分と言います。
権利関係について現実に生じている損害の拡大を防ぎ,権利関係を暫定的に定めるために行われる民事保全手続を仮の地位を定める仮処分と言います。
使用者から解雇された労働者が,その解雇の不当性を裁判で争おうとしても,賃金の支払いを受けることができなければ,生活が破綻してしまいます。
このような場合,雇用契約上,労働者の地位があることを仮に定め,賃金の仮払いを命じてもらうのが,この仮の地位を定める仮処分の一例です。