〔lawyer’ blog〕✍ 『半分,青い。』と早稲田界わい

梅雨が明けたのと同時に今年も半分が終わろうとしています。そして,NHKの朝ドラ『半分,青い。』も折り返し地点に。『あまちゃん』,『ひよっこ』の時ほどハマってはいないのですが,時代設定が私の学生時代から社会人になって働きだした頃に重なっていたり,律(りつ)が通う“西北大学”が母校早稲田界わいを連想させてくれたりということもあって,何となくここまで見続けています。喫茶「おもかげ」は神田川にかかる“面影橋”の傍にあるんでしょうね,きっと。

このドラマの放送が始まる前,予告編が流れ出した時に驚いたのは,漫画家を目指す主人公鈴愛(すずめ)の師匠となる秋月羽織の描く絵にくらもちふさこの実際の漫画が使われていたこと。以前,恩田陸の『蜜蜂と遠雷』のことをこのブログで書いた時,恩田さんはくらもちふさこの『いつもポケットにショパン』からインスピレーションを得たのではないかと思ったと書きましたが(実際は違ったようです。),『半分,青い。』の脚本を書いている北川悦吏子さんも恩田さんや私とほぼ同世代。『蜜蜂と遠雷』を読んだ北川さんが『いつもポケットにショパン』を思い出して今回のドラマのストーリーに組み込んだなんてことももしかするとあるのかも知れません。

ところで,以前のブログで恩田陸さんとは間接的なつながりがあると書きました。彼女の自伝的な小説『ブラザー・サン シスター・ムーン』の第2部「青い花」で主人公の衛(まもる)が入部するジャズ研の先輩,ゲロウマなテナー・サックス奏者“早瀬”のモデルになっている人物が,高校・大学を通じての同級生Y君なのです。恩田さんが直木賞を受賞した後に手にした『ブラザー・サン シスター・ムーン』の文庫本に「恩田陸,大学の先輩と語る」と題したY君との特別対談が収録されていてビックリしました。直木賞作家が書いた小説のモデルになった人物のことを当時身近にいて知っているというのはちょっと不思議な感覚です。

大学1,2年の時にはY君らと連れ立って高田馬場のジャズ喫茶MILESTONEに本当に良く行きました。ジャズ喫茶というと私語NGなんていう店もあったのですが,ここは自由な雰囲気でとても居心地がよかった。恩田さんもハイ・ソサエティ・オーケストラでサックスを吹いていたようなので,この店で一緒になったこともあったかも。MILESTONEは10年くらい前に(ずいぶんとシャレオツに)リニューアルしましたが今も健在。早稲田界わい,時間ができたらまたふらっと訪ねてみようと思います。

〔lawyer’ blog〕✍ “万引き家族”,“フロリダ・プロジェクト”,そしてSKIPシティ国際Dシネマ映画祭

先週土曜日,MOVIX川口で是枝裕和監督の「万引き家族」を見てきました。事務所の目の前にあるショッピングモールの中の映画館なのですが,アニメやファミリー向け作品の上映が中心なので,今まで一度も利用したことはありませんでした。封切り2日目,最初の土曜日,そして何よりカンヌ映画祭のパルムドール受賞ということで,座席数が最も多い1番スクリーンでしたが,7割近くの席が埋まっていました。

ひとつ屋根の下で暮らしてはいるけれど,本当の家族ではなく,奇妙な関係でつながっている同居人たち。そこに両親から虐待されて団地のベランダに締め出されていた女の子が加わって,括弧付きの「家族」の絆が生まれていくというストーリー。実際にあった事件を想起させるリアルなドキュメンタリーのような部分と映画的なフィクショナルな部分との混ぜ具合が絶妙。優等生過ぎて面白みに欠けるなんて意見もあるようですが,祖母役の樹木希林,駄菓子屋の店主役の柄本明らのユーモラスな演技で館内にクスクス笑いが拡がるシーンが何度もあったりして,“社会派”に括られがちなこれまでの是枝作品とはひと味違う感じがしました。

映画といえば,先月,シェーン・ベーカー監督の「フロリダ・プロジェクト」も見たのですが,この2つの作品,真っ当ではないことを生業にしているどうしようもない大人と,その大人と一緒に暮らす愛らしい子どもたちが描かれているという点で共通。そして,こんな生活はいつまでも続かないだろうなという予感がスクリーンに満ちていて,実際,最後に破綻が待ち受けているという点でも共通しています。でも,ラストシーンは好対照。見比べてみると面白いと思います。

初めて利用したMOVIX川口ですが,今年は,15回目を迎えたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭のサブ会場になるようです。国際コンペティション部門の10作品がこの会場でも上映されるらしいので,うまく時間を作って見に行ってみようと思います。

〔lawyer’ blog〕✍ 「小ざさ」の最中

私が担当している事件の依頼者は7割強が埼玉在住で,東京にお住まいの方が2割弱,残りがその他の地域といった割合でしょうか。そして,東京といっても,埼玉に隣接する北,板橋,練馬,足立あたりからの相談は珍しくはないのですが,23区の中でも南の地域にお住いの方から相談を受けることは滅多にありません。先日,杉並にお住いの方から相談を受けた際,こちらをお土産で頂きました。「小ざさ(こざさ)」の最中です。吉祥寺ハモニカ横丁の北の端にあり,行列ができるお店として有名な「小ざさ」。1日限定150本の羊羹を手に入れるには,朝5時とか6時とかに並ばなくてはいけないのだそう。何とか手に入れようと行列する人たちの様子は幾度もテレビで取り上げられています。最中はそこまでの希少品ではないのですが,夕方にお店に行っても並んでいないことが多いようです。

吉祥寺には,昔,「こんつぇると」という名曲喫茶があって,学生の時にはちょくちょく通いました。「小ざさ」の並びにある「肉のさとう」(こちらも今では行列ができるお店で有名)では,何度かコロッケを買って食べたことがあります。でも,当時は和菓子には関心がなかったので,「小ざさ」の前はいつも素通りしていました。

小ぶりで,餡の甘さも控えめなので,お茶請けにはうってつけです。美味しくいただきました。ありがとうございました。

〔lawyer’ blog〕✍ 20年振りの松江

宍道湖夕景

GWの前半,山陰地方を旅してきました。ふるさと納税の返礼品,大山Gビールを飲むうちに浮かんだ“妄想”に取り憑かれ,結局,妻を道連れに出雲,松江,そして倉敷(!)を旅することになりました。松江はNHKに勤めていた時の初任地。時代が昭和から平成へと替わる2年間をここで過ごしました。弁護士になってから,所属している法律家団体の大会が米子で開かれたことがあり,松江に前泊をしたことがありましたが,それも今から20年近くも前のこと。本当に久しぶりの松江訪問になりました。

まず驚いたのは,市の中央部の道路が片側2車線になっていたこと。宍道湖大橋までが片側2車線に! 私は松江で運転免許を取得したのですが,当時,市内には片側2車線の道路はJR松江駅の南側を走る国道9号線の数百メートルの区間しかなく,教習中に“車線変更”をしたという記憶がありません。現在は山陰自動車道なる高速道路までありますが,当時は山陰地方には有料道路すらなく,高速教習はビデオ視聴で済ませていました。東京に戻ってきてから,片側3車線の新青梅街道を初めて走った時のおそろしさは今でも忘れません(笑)。

道が拡げられたということは,それにともない街並みも変わったということ。“堀川めぐり”(これも30年前にはありませんでした。)の船の発着場の周辺は,カラコロ工房など色々な観光施設が整備されて活気がありましたが,東茶町や東本町の繁華街は,連休の昼間だったということもあるのかもしれませんが,かなり寂れた印象でした。そして,私の職場があった灘町,そのすぐ北側の白潟本町の界わい。天神町交差点から松江大橋南詰にかけて古い商店が立ち並ぶこの一帯の佇まいは,とても風情があって大好きな場所だったのですが,大規模な再開発の真っ只中にありました。山陰合同銀行本店ビルは解体されて瓦礫の山となり,隣には14階建ての新本店ビルがそびえ立っています。古くからの商店は,シャッターが閉まったままになっていたり,移転してしまっていたりと昔の面影はありません。私が働いていたNHKの放送会館は辛うじて当時のままの姿で残っていましたが,これも数年のうちに建て替えられるのだとか。30年という歳月が流れたことを改めて感じました。

そんな想いにとらわれながら松江大橋南詰に立ちすくんでいたところ,ある建物が目に入りました。解体工事の予定が書かれた標識の貼られています。“ぽえむ”が入っていた建物です。ネットには3月にも取り壊しが始まると書かれていたのですが,まだ工事が始まっていなかったのです。大橋の南詰,橋の本当にたもとにその建物はありました。大橋川越しに松江城を臨むことができる絶好のロケーション。“ぽえむ”がある時に来てみたかったなぁ。それでも嬉しくなって携帯を手にして撮影していたところ,通りかかった老夫婦から,“「ぽえむ」ですね。〇〇さんが亡くなってしまったからねぇ。”と声をかけていただきました。あの空間,そしてマスターを知る人と出会うことができて,時計が一気に巻き戻されたような感覚になりました。

この30年の間に多くのものが姿を消してしまいました。でも,お昼に「きがる」の割子蕎麦を食べ,65年振りに国宝に再指定された松江城の天守に登り,明々庵でまったりとした時間を過ごし,最後は県立美術館前から宍道湖に沈む夕日まで見ることができて,本当に良い思い出を作ることができました。

〔lawyer’ blog〕✍ 誰のための“働き方改革”なのか

GWを終えてから体調を崩してしまいました。夏のような暑さが続いていたと思っていたら,急に季節が一つ前に戻ってコートを羽織らないといけなかったり,体がついていけませんでした。まぁ,GWの前半,出雲,松江,そして倉敷と,短い日程でちょっと欲張りな旅をして,疲れをためたのもいけなかったのですが…。反省。20年振りに訪れた松江の変わりようについてはまた別の機会に書こうと思います。

GWを終えて国会も動き出しました。モリ・カケ問題にももちろん注目ですが,法案の行方が気になるのは「働き方改革一括法案」です。ご存知かと思いますが,この法案には「高度プロフェッショナル制度」という労働基準法の労働時間に関する規定を適用しなくても済むようにしてしまうという驚くべき制度が盛り込まれています。労基法の労働時間に関する規定の適用がない,ということは,例えば,1日の所定労働時間を午前9時から午後10時まで15時間とすることも(所定労働時間ですから残業代は「0」です。),ノルマを達成するまで休まずに働くよう命ずることも(休憩もなし,ということも可能。),すべて“違法”ではなくなってしまう,ということを意味します。おそろしいと思いませんか? “過労死促進法”という批判が起こるのもむべなるかなです。

政府は,この制度の対象となるのは自分で働き方を決めることができる高度な専門職に限られるから問題ないとしていますが,“自分で働き方を決めることができる人”のみが対象となるという保障はこの法案のどこにもありません。また,出勤・退社の時間を自分で決められる,それが働き方の改革につながるというのですが,今でもフレックスタイム制や有休の時間単位取得など色々な仕組みがあるのですから,「高度プロフェッショナル制度」を導入しなければならない理由としては余りにも弱いと言わざるを得ません。この制度の導入を歓迎するのは,労働者ではなく,労働時間の規制なしに労働者を働かせることができる使用者ということになります。現に経団連の榊原会長などは何度もこの制度の創設に強い期待を表明しています。

法案審議の山場は今月末となるようです。日本労働弁護団では,22日(火)午後6時30分から日比谷野音で集会と集会後の国会請願デモを企画しています。ぜひご参加ください。

〔lawyer’ blog〕✍ “開所祝い”とロゴマーク

2ヶ月ほど前,以前に所属していた事務所の大先輩*先生から“開所祝い”をいただきました。私がこの事務所を開いたのは昨年1月のこと。1年以上経ったこの時期の“開所祝い”にちょっと戸惑いましたが,*先生によれば,お祝いに何を贈ろうかと迷っているうち,あっという間に1年が過ぎてしまったのだとか(笑)。茶目っ気のある*先生らしい。

そして,その迷った*先生からいただいたのは,お花でも,お菓子でも,はたまた書籍でもなく,“ユキチ”が描かれた万能の神,いや“紙”。色々と迷われた結果,この結論にたどりつかれたようです。枚数は恐れ多くてちょっと書けません(*先生,本当にありがとうございます)。こうなると,今度は私が考える番。せっかく“開所祝い”としていただいたものを,毎月の経費の支払いに充ててしまうのでは(充てたいところはやまやまなのですが)何か失礼なような気がしますし,絵画や壺などの美術品を飾るだけのスペースは今の事務所にはありません。「新版注釈民法」という民法のコンメンタールをまとめ買い,オトナ買いしようかと一瞬思いましたが,出版されているものを揃えようとすると30万円近くしますし,何より民法は債権法の部分が昨年改正され,さらに,相続関係についても改正に向けた動きが活発化しているので,今は買うタイミングではないような気もします。私も色々と迷って最後に思いついたのが,事務所のロゴマークを作成することでした。

こちらがそのロゴマークになります。デザインをしていただいたマサさんによれば,“ひまわり”と“朝日”がモチーフになっていて,明るい未来を連想させるものとしているのだそうです。また,色の違う花びらは,ちょっとわかりずらいかもしれませんが,「川口」の文字を表現しています。地域密着で地元を明るく,と私がマサさんにお話しをした記憶はちょと定かではないのですが,心の内をくみ取っていただきました(笑)。

マサさんには,ロゴの作成に合わせてこのHPのTOPページを修正していただき,また,ロゴを使った封筒や名刺も作っていただきました。従来のものがなくなり次第,新しいものを使っていく予定です。皆さんに親しんでいただけるロゴになったのではないかと思いますし,何より,*先生からいただた開所祝いをカタチにして残すことができてよかったです。

〔lawyer’ blog〕✍ サウスピアで学習会

先月末のことになりますが,顧問先企業で学習会の講師を務めてきました。テーマは「事業所等における安全配慮義務」。安全配慮義務というと企業がその従業員の健康と安全を確保するために守らなければならない義務というイメージがあるかと思いますが,最近は,店舗や施設の管理運営者が客や施設利用者との関係で負担する義務としても構成されるようになっています。200名近い受講者があったのですが,皆さん,マネージャーなど管理的なポジションにある人たち。受講アンケートには,こうした事例で企業に責任が生じてしまうということはよくわかったが,では,どうすれば責任を負わないで済んだのかをもう少し解説してもらいたかったという感想があったようですが,職場に潜んでいるリスクを改めて洗い出す機会にしてもらうことが目標のひとつでしたので,こうした感想が引き出せればまずは目標達成と言えそうです。

ところで,学習会の会場に使われたのは「サウスピア」9階の多目的ホール。「サウスピア」というのは,2013年1月にオープンした区役所(さいたま市の南区役所)や子育て支援センター,図書館などが入った複合公共施設です。ここの多目的ホールはなかなかの優れもので,普段はフローリングの平らなホールなのですが,床には電動折畳式のステージ,壁には移動式観客席が収納されていて,スイッチひとつでステージがせり上がり,10段ある観客席が壁から現われます。観客席は高さもあるのでフィルム上映や音楽演奏などにも向いていそう。武蔵野線,埼京線が交差するJR武蔵浦和駅に直結していて交通の便も良いですし,何より使用料がとってもリーズナブル。平日であれば,全日借りても1万1910円,夜間だけの利用であれば5380円! 弁護士会の研修会や行事などでも重宝しそうです。

《Staff blog》「奨学金 借りるとき返すときに読む本」

平成28年の日本学生支援機構の調査では,奨学金の借り入れ率は4年生大学で48.9%,短期大学で52.2%に上ります。

学業を修める上で重要となっている「奨学金」を借り入れる上で,借入金額や利率・返済について,日本学生支援機構の冊子を読んだだけでは,実態をなかなか把握できないのではないでしょうか。

本年1月,以前私が所属していた埼玉総合法律事務所の,鴨田譲弁護士が事務局長を務める埼玉奨学金問題ネットワークから『奨学金 借りるとき返すときに読む本』(弘文堂)が出版されました。

主に、最も利用者の多い日本学生支援機構の奨学金について、借りるときに注意すべき点、返済が難しくなった際の救済制度、延滞するとどのようなことが起こるのか、実際の日本学生支援機構との裁判例などについて紹介しています。

定価1728円(税込み)のところ,なんと現在,埼玉総合法律事務所の受付で1500円で販売しております。

奨学金を借りようとしている方,すでに借入をされている方は是非お読みください。

(おかげさまで増版されました(*^_^*))

〔lawyer’ blog〕✍ アートパーク

今年はずいぶんと早く桜が開花したなと思っていたら,あっという間に初夏のような陽気になってきました。昨日などは日中であれば半袖でも大丈夫でしたね。

事務所が入っているマンションの産業道路をはさんだ向かい側には公園があります。正式な名称は「並木元町公園」。公園敷地の中に「アートギャラリー・アトリア」があるので“アート・パーク”という呼び方もあるようです。公園の西側,アリオ寄りの部分には芝生広場や噴水があって,子どもたちの遊び場になっています。春休みの昨日も,はしゃぎ廻る子どもたちの大きな歓声が事務所の窓越しに響いてきました。これに対して,公園の東半分,産業道路に面した側は,昨年1月,事務所を開設した時から,ずっと工事用のフェンスで覆われて中を見ることができませんでした。公園の地下に雨水を貯める調整池を造る工事が続けられていたのです。先月末,その工事がようやく終わってフェンスが取り外されました。木が植えられ,ベンチも並べられて,ちょっと良い雰囲気です。

今回整備が終わった産業通り側の半分は,どうやら大人も休める場所として作られたよう。夜になるとベンチの下にある灯りが点灯します。デートに使える,といった洒落た感じはまったくありませんが(?),今はまだちょっと頼りない植栽が木陰を作るくらいまで大きく育ってくれれれば,ご近所の憩いの場になってくれそうです。

 

〔lawyer’ blog〕✍ 文旦(ブンタン)

ふるさと納税の返礼品,第2弾。高知県黒潮町から「文旦(ブンタン)」が届きました。知らなかったのですが,グレープフルーツやナツミカン,ハッサクなどは,文旦が自然交雑してできた品種なのだそうです。つまり,文旦はおなじみの柑橘類の祖先のような存在ということ。ナツミカンほど甘さはなく,ハッサクと比べると水分が少なくてパサっとした食感。物足りないと感じる人もいるかもしれませんが,私はこの素朴な味が大好きです。

文旦を食べると思い出すのが,弁護士になって初めて一人で受任した民事事件の依頼者,Wさんのこと。橋梁工事の型枠大工をしていて,1年の大半を山奥の飯場で過ごしているという方でした。病気で亡くなった同僚の手荷物の中に,この人にお金を貸したときのものと思われるメモが残されていて,そのメモを見た遺族から貸金の返還を求められたというちょっと変わった事案でした。亡くなった同僚とはお金を貸し借りする関係があるにはあったが,借りた分はちゃんと返し終えている,あいつは「貸」と「借」の字を間違えて書いていたんだというWさんの言い分を裁判官に理解してもらうため,Wさんと故人との関係から飯場での作業員たちの生活ぶりまで細かく聴き取っていきました。周りに何もない山奥の飯場でも,ちゃんと近くに仮設の(?)スナックができるのよ,姉ちゃんも街から稼ぎにくるのよ,なんていうWさんの話についていくのに当時の私は必死でした。

何とか請求棄却の判決を勝ち取った後,高知県出身のWさんから送られてきたのが文旦の10kg箱。美味しいですねとお礼を言うと,そうでしょ,うまいでしょ,また送るよと言ってくれ,本当にその後何年も続けてこの季節に文旦を送ってくれたのでした。