〔lawyer’ blog〕✍ いわき,薄磯海岸

3年前から参加している原発避難者訴訟,先行する第1陣訴訟は,現在,仙台高裁で控訴審の証拠調べ手続が集中的に行われており,年度内に結審,そして判決と急ピッチで手続が進められています。私が主に担当している第3陣訴訟は,まだ1審で主張のやり取りをしている段階。2か月に1度,福島地裁いわき支部に通っています。

先日,裁判所での手続を終えた後,日没まで少し時間がありそうだったので,舞子浜,薄磯海岸から塩屋埼灯台へ続く海岸通りを車で巡ってきました。塩屋埼灯台は,灯台守の苦労を歌った「喜びも悲しみも幾歳月」の舞台,そして,美空ひばりの「みだれ髪」にも登場する名所ですが,灯台の北側に広がる薄磯(うすいそ)海岸は,地元でこそ有名な海水浴場のようですが,世間的にはあまり知られていない場所だと思います。くるりの「ばらの花」のPVが撮影されたのがこの海岸と知ってから,一度行ってみたいと思っていました。どんよりとした雲がたれこめた冬の海岸で,くるりのメンバー3人(当時)が手を風よけにしながらライターの火を付けようとするシーンが印象的なPV。季節は正反対ですが,同じような曇天でした。

薄磯海岸の一帯は3.11の津波に襲われました。薄磯地区で125人の命が奪われたのだそうです。現在は,嵩上げされた防潮堤,さらに道路をはさんで防災緑地も整備されています。しかし,再建された人家はあまり見当たりません。

震災前とは大きく姿を変え,まだ復興途上の薄磯地区。くるりは,震災後,再びこの薄磯海岸を舞台にPVを撮っています。「ばらの花」と比べるとだいぶ難解な歌詞の「glory days」。どんな想いが込められているのか,改めてカーステレオでCDを鳴らしながら,薄暗くなった海岸を後にしました。