〔lawyer’ blog〕✍ すみだ北斎美術館

富嶽三十六景 神奈川沖浪裏

先週の土曜日,両国にある「すみだ北斎美術館」に行ってきました。昨年11月にオープンしたばかりの新しい美術館ですが,来館者数はすでに30万人を突破しているのだとか。北斎ブーム,恐るべし!ですね。ただ,私が訪ねた日は,台風の影響でどんよりとした空模様,それに閉館の1時間前だったということもあって,並ばずにすんなり中に入ることができました。「パフォーマー☆北斎 ~江戸と名古屋を駆ける~」という企画展も行われていたのですが,今回は,入館料を節約して,常設展だけ見てきました。常設展は,北斎の画業を彼が使っていた主な画号によって6つの時期に区切り,それぞれの時期の代表作をエピソードを交えて紹介し,生涯を辿っていくという見せ方になっています。展示されている絵は実物大の高細密レプリカです。北斎の絵はサイズが小さなものが多いので,絵の前に人だかりができてしまうと細かなところまで見ることができないのですが,ここの良いところは,タッチパネルのモニターが別に置かれていて,モニターでも絵を見ることができること。画面をピンチして絵を拡大・縮小したり,解説を読むこともできます(英語,中国語,ハングルにも対応)。また,『北斎漫画』などの絵手本をタッチパネルを使ってゲーム感覚で楽しめるモニターもフロアー中央に何台か置かれていて,西洋人の男の子がこれに夢中になっていました。先端の技術を使って美術館も変わってきていますね。

すみだ北斎美術館

北斎の絵もよかったのですが,実は,もう一つ楽しみにしていたのは美術館の「建物」。設計を担当したのは妹島和世(せじまかずよ)さん。今年5月,金沢に旅行に行った時,彼女と西島立衛のユニットSANAAが設計した「金沢21世紀美術館」を訪ねたのですが,ガラスを多用したとても明るく開放的な作りになっていて,この人が設計したほかの建築物も気になっていたのです。お城の前の広大な敷地に建てられた「21世紀美術館」とは違い,狭い敷地,しかもまわりにはマンションや住宅もたくさんあるという立地にどのような美術館を建てたのか興味津々だったのですが,期待にたがわず面白かったです。北側にある公園から見ると,Nipponの「N」の形になっています。壁面には鏡面仕上げが施されたアルミパネルが貼られているのですが,このアルミの鏡面,ステンレスの鏡面とは違って周りの風景の映り込みを淡く柔らかくするのだとか。周囲への心づかいでしょうか。こうした近未来的な構造物の中に北斎の絵が収められていると思うと何とも不思議な感じがします。

今回は小雨が降りだしたこともあって建物の周囲をゆっくり見ることはしなかったのですが,隣の錦糸町に東京簡易裁判所があるので,そちらに行く事件を担当することになったら,また立ち寄ってみようと思っています。(の)