埼玉弁護士会主催:表現の自由と忘れられる権利を考えるシンポジウム「インターネット社会の問題点」 2/3(土)

           
 2月3日土曜日に埼玉弁護士会主催のシンポジウムがさいたま市民会館おおみやで行われます。テーマは“表現の自由と忘れられる権利を考えるシンポジウム「インターネット社会の問題点」”です。

 さいたま地裁は,2015(平成27)年6月,過去に逮捕歴のある男性が検索サイトに表示される検索結果の削除を求めた裁判で,「一度は逮捕歴を報道され社会に知られてしまった犯罪者といえども,人格権として私生活を尊重されるべき権利を有し,更生を妨げられない利益を有するのであるから,犯罪等の性質にもよるが,ある程度の期間が経過したあとは過去の犯罪を社会から『忘れられる権利』がある」として,削除を認める決定を出しました。この決定は,2016(平成28)年7月,東京高裁により取り消され,最高裁第3小法廷も,翌2017(平成29)年1月,結論としては削除を認めない決定を出しましたが,「表現の自由と比べてプライバシー保護が明らかに優越する場合は(検索結果の)削除を求められる」と最高裁としては初めての判断基準を示しています。

 EUの最高裁判所にあたる欧州司法裁判所(CJEU)は,2014年4月,大手検索サイトに対し,市民の過去の個人情報へのリンクを検索結果に表示しないように命じる判決を下して注目されました。検索サイト側もこの「忘れられる権利」を尊重し,市民からの削除申請に対応するようになってきています。

 他方で,民主主義社会においては,表現の自由とならんで国民の「知る権利」が国政の監視に重要な役割を担っています。インターネット社会において,個人のプライヴァシーの保護と「知る権利」の保障のバランスをどのように図っていけばよいのか,愛知大学の長峰信彦教授,平成29年最高裁決定の許可広告申立代理人を務めた神田知宏弁護士をパネリストにお迎えしてお話を聞きます。興味ある方は,ぜひご参加ください。

 

さいたま市民会館おおみや

住所 〒330-0844 さいたま市大宮区下町3-47-8
電話番号 048-641-6131