〔lawyer’ blog〕✍ 平成の終わり

来年5月,明仁天皇が生前退位されるということで,ここのところ“平成最後の”が続いています。元号については色々な意見がありますし,仕事をしていると西暦使用に統一してもらいたいと思うことが多いのですが,時代や世代の区切りとして使われる分には便利な面もあるような気がします。あと4ヶ月で平成も終わり。私にとっての平成は,放送局勤務から始まり,司法試験,司法修習を経て弁護士として活動をしてきた時代。20代半ばからの30年,色々なことがありました。

生前退位を控えた明仁天皇の先日の記者会見には考えさせられるものがありました。象徴天皇を受け入れてくれた国民やそれを支えてくれた皇后に感謝するとありましたが,“君主”とも“元首”とも違う,“象徴天皇”というこれまでにない地位をどのように受け止めればよいのか一番悩んだのは,敗戦時,11歳の少年だった明仁天皇ご自身ではなかったでしょうか。戦前,幼少の皇太子がどのような教育を受けていたのかは余り明らかにされていませんが,戦後,家庭教師のヴァイニングや小泉信三から受けた教育とは全く別物であったであろうことは想像に難くありません。明治憲法(大日本帝国憲法)から日本国憲法へと憲法が変わり,統治権の総覧者として神聖不可侵の地位にあった天皇は,日本国,国民統合の“象徴”へと置き換えられました。象徴とは何なのか,象徴天皇の果たすべき役割は何なのか。ひたすらにそのことを考えながら「旅」を続けてこられたのだと会見を見ていて感じました。

学生時代は,天皇制と民主主義,国民主権とはおよそ相容れないものと考えていました。しかし,民主主義も万能ではなく,君主的な存在がプレビシットによる独裁をけん制するということも世界では現実に起きています。平成後期の日本もそのような時代として後世では評価されることがあるかもしれません。そんな平成も残すところあとわずかです。