幸町たより 弁護士ブログ

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〔lawyer’ blog〕✍ 「鶴見俊輔伝」

天皇の代替わり,改元でこれだけの騒ぎになるとは想像していませんでした。確かに,誰と会っても,何を見ても,「あっ,そう」と無機質な言葉しか発しなかった昭和天皇と比べると,平成の天皇,皇后には,国民に親しく寄り添おうという姿勢が感じられましたし, 平和や災害についての発言や行動にも好感を持てるところがありました。でも,天皇について「好感」を超えて「尊敬」という感情まで持つ国民が増えているという世論調査の結果には,時代が逆戻りしてしまわないか,ちょっと心配になったりもします。

そんな改元をめぐる騒動で印象が薄くなった観のある憲法記念日に,黒川創の「鶴見俊輔伝」を読了しました。数カ月前に手にしていながら,500頁を超すボリュームに怯んでしまい,なかなかページをめくれずにいたのですが,これが読み始めてみると本当に面白かった。私は1963年生まれなので,「声なき声の会」や「ベ平連」のことはリアルタイムではもちろん知りません。彼の著作も“転向”研究の代表作「戦時期日本の精神史」を読んだことがある程度でした。ですから,彼の祖父が関東大震災の後に内務大臣として“帝都東京”の復興計画を立案した政治家,後藤新平であることもこの本で初めて知りましたし,丸山眞男,都留重人,桑原武夫,高畠通敏らと鶴見の交流についても,事前の知識がほとんどなく,なるほどそういう繋がりがあったのかと驚くことばかりでした。一人の人物評伝を読んだというより,戦中から戦後にかけてのリベラル思想の系譜を,豊富な,そして面白いエピソードとともに教えてもらったなぁという印象です。好著でした!

〔lawyer’ blog〕✍ 自分が差出人になった宅配便

先週の木曜日のこと。自宅の郵便受けにクロネコヤマトの不在連絡票が入っていました。どこからの荷物かなと差出人をみると「野本夏生 様」となっています。はて? 最近,外出先から自宅に向けて荷物を送ったことなんかあったかなと考えてみたのですが見当がつきません。きっとドライバーさんが届け先と差出人とを間違えて連絡票に書いてしまったのだろうと思いながら再配達の手配をし,土曜日に荷物を受け取りました。裁縫箱を少し大きくしたようなハコ型の荷物。割れ物注意のシールが貼られています。差出人をみるとやはり「野本夏生」?? 自分の字よりもかなり上手な筆致で書かれています。うーん,なんだか気持ち悪い… 恐る恐る包装を解いていくと,中から出てきたのはこちら。京都市役所近く,寺町二条にあるお菓子屋さん,「村上開新堂」の箱詰めクッキーでした。

実は,昨年11月,洛東・毘沙門堂や嵐山の紅葉を見ようと妻と二人で京都を旅したのですが,その時,京都市役所近くのこのお店に行き,クッキーを注文していたのでした(字がきれいだったのは妻が書いたから)。京都の村上開新堂さんは,常連さんからの紹介がないと買うことができない東京・千代田区一番町の同じ名前のお店とは違い,マドレーヌやダックワース,名物のロシアケーキといった焼き菓子であればその場で買うことができます(個数の制限はあったかも…)。ただ,クッキーだけは要予約となっていて,店頭で注文をして後日自宅に送ってもらうことはできるのですが(紹介がなくても大丈夫,注文できます。),家族経営の小さなお店でありながらたいへんな人気店ということで,お届け日は何と4か月先になってしまうのです。そんなこともあって,自宅用にこれを注文していたことが頭の中からすっかり抜け落ちていたという次第。でも,思いがけないお届け物ということで,ちょっと得をしたような気分にも(!?)。昨年の旅行のことを想い出しながら(河原町の喫茶店「フランソワ」にも行きました。),しばらくこのクッキーを楽しみたいと思います。

 

〔lawyer’ blog〕✍ 世界フィギュア

年度末の3月はタダでさえ慌ただしいのに,個人事業主にとっては確定申告という別の“苦行”が待っています。普段から資料整理を心掛けておけば何てことはないはずなのですが,どうせお金を納めるだけなんだからと考えてしまうと手が止まってしまいがち。届いていたはずの生命保険料の控除証明書が見あたらない,クレジットカードの利用明細をネットで取ろうとしたら1年前までしか取ることができないなど,今年もドタバタしてしまいましたが,何とか期限内に申告を終えることができました。

ほっとしたところで,連休の合間,さいたまスーパーアリーナで行われた“世界フィギュアスケート選手権”を見に行ってきました。海外歌劇団のオペラ公演並みのチケット料金に驚きましたが,世界フィギュアの日本開催は5年振り,次のチャンスがいつになるかわかりません。ブレイク中の紀平梨花さんの演技も見ておきたかったので,思い切って購入しました。フィギュアスケートの生観戦は初めて。リンクサイドからちょっと離れた席で,選手の表情はオペラグラスを使わないとわかりませんでしたが,スケートのエッジが氷を削る音が時折聞こえてきたりして臨場感は十分でした。

びっくりしたのは女性の観客の多さ。8割近くが女性で,年代も10代から60~70代まで様々。“お一人様観戦”らしき人もたくさんお見受けしました。さらに,彼女たちの“フィギュア愛”の深さには驚かされました。どの国の選手でも良い演技をすればスタンディング・オベーション,惜しみない拍手を送り,ミスをしてしまった時には一緒になってがっかりする。わずか数分の演技にすべてを賭ける選手たちの想いをしっかり受け止め,これに声援で応える彼女たちの姿は,日本選手の活躍だけを殊更に取り上げるメディアの姿勢とは全く違っていました。また,機会があったらフィギュア観戦,してみたいと思います。

 

 

 

 

〔lawyer’ blog〕✍ モーニング・コンサート

東京での朝一番の仕事を終えて,次の示談交渉の仕事まで少し時間が空いたので,久しぶりに芸大奏楽堂のモーニング・コンサートに行ってみました。芸大の各専攻科から選抜された学生がソリストとなって藝大フィルハーモニア管弦楽団と共演するというこのモーニング・コンサート。昔は上野駅で乗り換えをする時,ちょっと時間があるなと思ったらたまに聴きにきたものでしたが,上野東京ラインができ,上野駅が通過駅になってしまってからは,すっかり足が遠のいていました。一昨年から加わった原発避難者訴訟の弁護団事務所が上野にあり,また上野駅で降りる“クセ”がついたので,手帳にコンサート・スケジュールをメモしていたのですが,なかなかチャンスがありませんでした。

今日の演奏会は2018年度の最終回。穏やかな良い天気で,演目も人気のラフマニノフのPコン3番ということで,当日券はまさかの完売。ダメ元と思って並んでいると,開演直前になって30席だけ追加販売があり,26番目で運よく入ることができました。沼田昭一郎くんのラフマニノフ,舞台に姿をみせた時は,華奢でちょっと頼りなさげに感じたのですが,いざ演奏が始まると別人のような力強さ。テクニックも抜群で圧巻のラフマニノフでした。昨年,藝大クラヴィーア賞を受賞したというのもうなづけます。

コンサートは2つのコンチェルト(沼田くんの前に藤田麻里奈さんのグレンダール:トロンボーン協奏曲の演奏がありました。)を休憩なしでやったので1時間余りで終了。あっという間ではありましたが,平日の昼間にこれだけの演奏を聴くことができて大満足。

コンサートの帰り,大学会館前の庭を歩いていたら,梅の花がきれいに咲いていました。もう春がそこまで来ているようです。

 

 

 

 

〔lawyer’ blog〕✍ 何という試合! 

気がついたら1月も残すところ1週間。新年になってからブログを更新しないまま3週間も過ぎてしまいました。といってもボーっとしていたわけではありません。2日の夜から3日にかけて「当番弁護士」の待機日。いつ出動の要請があるかわからないため,遠出をすることはできませんし,かといってお酒を飲みながら箱根駅伝をテレビ観戦するというわけにもいきません。4日に勾留満期を迎える被疑者国選弁護の事件も抱えていたため,正月気分を味わうことなく,なし崩し的に新年の仕事をスタートさせたのでした。

猪年なのでこのまま突っ走ろうかと思っていたところ,先週末に風邪をひいてしまってあえなくダウン。鼻水をすすりながら見たのが全豪オープンテニスです。グランドスラムの5セットマッチ,3時間を超えることも珍しくない男子の試合となると,試合開始からゲームセットまで通しで見ることなど滅多にありません。でも,風邪で思考力が著しく低下してしまってはほかにすることもなく,ソファーに横になりながら,WOWWOWで何試合か見てしまいました。フェデラーとツチパスの新旧対決は見応えがありました。10数本あったブレークポイントを凌ぎ切り,サービスゲームをすべてキープしてフェデラーを倒したツチパスのプレーの質には正直驚きました。ズベレフ,ティエム,ティアフォーなどの次世代エース候補の中から頭一つ抜け出したように思います。ネットプレーがもう少しうまくなれば,近い将来,間違いなく4大タイトルを手にすると予想します。甘いマスクで人気も出そう。

しかし,何より興奮したのは錦織圭とブスタの試合でした。2セットダウン,第3セットもタイブレークまで追い詰められましたが,そこを何とか切り抜け,2セットを挽回。ファイナルセットでは,ここを取れば勝利という第10ゲームのサービスゲームをブレークされる嫌な展開になり,10ポイント先取のタイブレークに入ってからもミニブレイクを先行され,5-8と3ポイント離された時はここまでかと思いました。そこから粘って5ポイントを連取するとは! 一昨年,右手首の腱を部分断裂するという大けがを負った時には,もう彼にはグランドスラムのタイトルを取るチャンスは巡ってこないのではないかと思っていたのですが,けがからは完全に復調し,体もひと回り大きくなったような気がします。弱点だったサーブもずいぶんと強化され,サービスゲームを安定してキープできるようになったのは大きい。今年は,もしかすると,もしかするかもしれません。錦織くんのプレーに熱中するうち,風邪はすっかりよくなったようです。

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